回顧録のインタビューで何を話せばよいか
準備ゼロでも大丈夫。引き出す側が何を考えているかを知っておくと、当日が楽になります。

「インタビューで何を話せばいいのか」という不安は、回顧録の制作を検討している方のほぼ全員から聞きます。結論から言うと、特別な準備は必要ありません。ただ、引き出す側が何を考えながら質問しているかを知っておくと、当日の会話がずいぶん楽になります。
インタビューは「聞き書き」の場です
回顧録のインタビューは、試験でも取材でもありません。編集者が質問し、依頼者が答え、その会話の中から本の素材を集める場です。正確に話す必要はなく、「確かそうだったと思う」「よく覚えていないけれど」という言葉も、そのまま記録します。
私たちが最初の30分で必ず聞くのは、子ども時代の食べ物や遊び場の話です。記憶は感覚と結びついていることが多く、「あの頃よく食べていたもの」を話すうちに、当時の家族の様子や近所の風景が自然と出てきます。
「なぜ」を聞くことが核心
出来事の羅列は年表であって、回顧録ではありません。私たちが大切にしているのは、「なぜそうしたのか」「そのとき何を感じたか」という問いです。
たとえば「転職した」という事実よりも、「なぜその仕事を選んだのか、迷いはなかったか」という問いへの答えの方が、読む人の心に届きます。インタビューでは、出来事の背景にある判断や感情を丁寧に引き出すことを意識しています。
録音と文字起こしについて
セッションはご了承いただいた上で録音します。後から文字起こしをして、編集の素材にします。話し言葉をそのまま使うのではなく、語り口の自然さを残しながら読みやすい文章に整えます。
「自分の話し方が文章になるのか不安」という方もいますが、実際に文字起こしを見ると、思った以上に内容が豊かであることに驚かれます。話すことと書くことは別の技術で、私たちの仕事はその橋渡しをすることです。
インタビューは通常3〜5回行います。回を重ねるごとに話しやすくなり、最後のセッションでは「もっと話したかった」とおっしゃる方も少なくありません。